
ニューヨークを拠点に活躍をする
デザイナー・鈴木大器氏を迎え、
2025年秋冬よりスタートする
新ブランド〈モドメント(MODMNT)〉。
“Module(構造)”、“Mode(様式)”、
“Equipment(装備)”、“Element(要素)”
という
4つの言葉を掛け合わせて
生まれたブランド名からは、
服をパーツとして捉えて
スタイリングを組むような、
構築的な印象がうかがえる。
このブランドネームに込めた想い、
そしてコンセプトやデザインについて、
デザイナーである鈴木氏に語ってもらった。
アイテムを重ねたり、
組み合わせながら遊ぶ。


はじめに〈モドメント〉はどんなブランドなのか、教えてください。
鈴木:服を部品のように扱って、それらを組み合わせてコーディネートを構築するような、そんなブランドがあったらおもしろいんじゃないかと考えていました。言い換えれば、子どもの頃にやっていたブロック遊びですよね。そんなイメージのブランドなんです。
ブランド名の背景にある4つの要素からも、そうしたイメージが伝わってきます。
鈴木:“Module”っていうのは、まさにそうした部品のこと。つまりは服そのものを指します。ナンガの人たちとブランド名を考えていたときに、まずこの言葉が挙がり、そこから他の3つの要素も生まれました。

ブランド名が先にあってコンセプトが生まれたのか、それともその逆なのでしょうか?
鈴木:ブランド名が生まれる前から、なんとなくの服のイメージはできていました。それからやりとりを重ね、コンセプトがどんどん固まっていったという流れです。〈ナンガ〉はもともとダウンをつくっていて、アウトドアに強いじゃないですか。だけど、今回はそうしたイメージと切り離したものにしたかった。〈ナンガ〉のブランドだとは気づかないくらいのものにしたかったんですよ。そこでどういう特徴づけをしようか考えたときに、「組み合わせる」「レイヤーする」というアイデアが生まれたんです。

アウトドアではなく、あくまでファッションであると。
鈴木:ファッションなんだけど、いわゆるデコラティブな服でもない。どこかアメリカ的な香りがして、デザインもミリタリーやワークをアレンジするような感覚というか。
どこか道具的な感覚ですかね。
鈴木:そうですね。それがまさに“Equipment”の部分に当たります。

他にも“Mode”、“Element”という要素もありますが、このふたつにはどんな意味合いがありますか?
鈴木:“Mode”は様式という意味がありますが、アウトドアではなく装いの服であるということです。“Element”は要素なんだけど、物質ではなくて目に見えないもの。ぼくが頭の中で描いているのは、さっき話したようにワークやミリタリーといった服の要素を落とし込むような感覚ですね。
そうした4つの要素が組み合わさって生まれたのが〈モドメント〉ということですね。
鈴木:その4つが核としてあるんだけど、発想によって印象が変わるのがおもしろいんです。ひとつ一つのパーツをお客さんが自由にイメージをして、重ねたり、組み合わせたりしながら遊ぶ。そこにこのブランドの旨味を感じ取ってもらえたらうれしいですね。

鈴木大器(スズキ ダイキ)
1962年生まれ。NEPENTHES AMERICA INC.代表、〈ENGINEERED GARMENTS〉ファウンダー。89年渡米、ボストン-NY-サンフランシスコ-を経て、97年より再びNYに拠点を置き、99年に〈ENGINEERED GARMENTS〉をスタート。08年CFDAベストニューメンズウェアデザイナー賞受賞。09年からは日本人初のCFDAの正式メンバーとなっている。